伝え方って

情けもすぐれば仇となる

伝え方って聞くと、普通はどう伝えるかを考えがちです。でも本当はそこに重きを置くよりも考えないといけないことがあります。それがどう伝わったかということです。

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私も若い頃には、どう伝えるかに必死だったと思います。例えば、直接会って話すのか、手紙なのか、電話なのか、メールなのか、言葉なのか、数字なのか、図やグラフなのか、これが言いたい、あれも言いたい、これも言わなくちゃ、あれも言わなくちゃ、、、

実際自分の場合は何か買ってもらうとか言うよりも、自分の考えなり思いを相手にも知ってほしい、理解してほしい、という気持ちが強かった、いや強すぎたんだと思います。今考えるとそれは多分押し付けがましかったでしょうし、相手からすると嫌なことだったでしょう。今でも思い出す度、恥ずかしい気持ちでいっぱいです。

情けも過ぐれば仇となる、という言葉があります。良いと思われる情けであっても、あまりやり過ぎると、相手にとっては迷惑になるから注意しなさい、という意味です。

伝えたい気持ちが強すぎると、伝えたいだけで相手の気持ちを考えないです。すると、相手の状態にもよるでしょうが、多分伝わらないでしょうね。一生懸命伝えようとして、逆効果なことばっかりをやっている。何やってんねんていう感じです。それじゃあもったいないですよね。

どう伝わったか?

だから意識して大事にしていかなければならないのが、どう伝えたかではなくどう伝わったかなのです。今はそれをいつも意識しています。その時気をつけているの3つのことがあります

  1. 話す相手と話の内容  誰に話すか?何を話すか?
  2. 独りよがりになっていないか  相手の事を考えているか?
  3. 相手のリアクション  相手を見ているか?
  1. そもそもその話が相手に全く興味ないことであれば相手も食いついてこないでしょう。例えば5歳の子に難しい数学の話とか、肉が嫌いな子に美味しい焼肉屋の話とか。

    興味がなくても、今は必要ない話でも、興味がある事や、関連がある例え話を入れてみたりして、話を進めたりしていきます。話を聞いてあげることも、もちろん大事なのですが、立場上友達とのおしゃべりではだめなので、子供には耳の痛い話もしなければなりません。
  2. 難しい表現や言葉を使ったりとか、相手の理解力を考えずに話を進めないようにする。相手が理解できる、言葉のレベルとか例えを、入れて話すようにしています。

    特に子供相手だと、気を付けないといけないのが、この項目です。あまり幼稚な言葉を使うと、文句言われますし、難しい言葉だとポカンとした顔をします。会話の中でそこら辺を探りながら、会話をしていきます。
  3. 相手の表情や態度を見て、食いついているか、興味があるのかないのか、退屈していないか、をしっかりチェックしています。人は自分が興味がある話だと前のめりになるとか、こちらの目をしっかり見てたりとか、ちょっとした仕草にも気をつけています。

    これは、分かりやすい反応を示してくれますね。目をそらしたり、髪の毛を触ったり、ソワソワしたり。こういう時は、「聞いてるの」 と言ってもだめですよ。少し会話を中断して、じっと見つめてあげましょう。

一つずつ

しかしこれだけ色々考えて伝えてみても、なかなかうまくいかない時もあります。そういう時は伝えていく中での質問とか確認に気をつけています。

例えば 「ここまでの話でわからないことある」 「何か聞きたいことは」 「私はこう思うんだけどあなたはどう思う」 「○○さんの場合で言うと例えばこうなったらどうします」 とか相手を巻き込んで、話の中の主人公の一人として参加していただく、みたいなイメージでしょうか。

これが子供に対してだと、もう一つ難易度が上がるように思います。なぜかと言うと子供はすぐ分かったふりをするからです。叱られ慣れているという感じですかね。 「とりあえず、分かったって言っとけばこの場は収まるか」 みたいな。

ですから、気をつけているのは一度にたくさんのことを伝えようとしない、ということです。まずは一つずつ伝えていかないと、ただでさえ聞きたくもない話をされているのに、それが2つも3つもあったら、とりあえず分かったって言っとこ、ってなりますよ。

ですからそこはぐっとこらえて、今は一番伝えたいこれだけに絞って、伝えるようにしています。その方が絶対に効果的です。ただ、これはあくまでもその時に必ず理解して欲しいことを伝える時に考えていることです。

最後に

私は常日頃から、子供たちに色々な話をしています。今世の中で起こっている事。昔と今でこんなに変わった事。大人になったら大事なこと。今、子供の時に考えておかなければいけない事。パパやママの想い。お金や政治。

もちろん、ほとんど聞いてないかもしれませんし、理解してないかも知れませんし、理解できても今の自分と結びつけるのは、難しいでしょう。ただ、その子にとって無駄な話は一切していないと思ってます。いずれ分かるか、必要になる事です。

でも、私は話続けていくでしょう。なぜなら伝えることが、大人としての、人生の先輩としての、義務だと思っているからです。別にそんなに大そうなことをしたい訳ではありません。また、しているつもりもありません。

自分がしてもらってきたことを、してあげているだけなのです。たくさんの人にしてもらってきた話。たくさんの本から学んだこと。たくさんの自分がしてきた体験。たくさんの良かった事、悪かった事。その中で、目の前の子に役立ちそうな事を話しているのです。

いつか、その子が思い出してくれることを楽しみに。 「先生が言ってたことって、このことやったんや。初めて分かった」

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ぷろふぃーる 
 個人塾をやり始めてもう十数年。自らの子育ての経験と、毎日の塾での子供たちや親御さんとのやり取りの中で、考えていることや感じていることを綴っています。あくまで個人の意見ではあります。しかし、頑張っておられるお父さんやお母さんに少しでもお役に立てればと思っております。

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