文系理系って

文系理系って、皆さんも高校時代経験された方がほとんどでしょう。大学生の割合が、文理で7:3の割合ぐらいですので、世の中的にはもっと理系の方面に進路を取られた方は少ないでしょう。周りを見渡してもそんな感じでしょうか。

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子供の進路の相談を受けていて感じるのが、子供を理系に進めたいと思っている親の比率が高い事です。その理由で多いのは、 「就職の時に苦労がない」 「くいっぱぐれがない」 「これからの時代に伸びる職種が多い」 というのが、挙がります。

実際昨今の流れを見ても、2030年のⅠT人材不足問題を火種とし、プログラミング授業の必修化や、大学の理系学部の新設や増員など、国も重たい腰を上げて、技術者育成をバックアップしようという流れが見え始めています。

そして、女の子こそ理系に求められている人材です。近年メーカーも女性目線で商品開発する必要性に迫られ、技術系の人材、特に女性特有の感性を求める企業が増えています。従って就職ではかなり有利です。

ここで理系の考え方というのと文系の考え方というのの違いを考えてみましょう。文系の人はコミュニケーション能力に長け、言われたことを間違いなくやることが得意です。その代わり指示がないと動けないという側面も持っています。理系の人は興味のあることをとことん追求し問題を解決するために考えることを厭いません。逆に興味がないことには関心がなく論理的でないことは受け入れにくいです。

よく言われる事ですが、理系好きは答えを導く道筋を考える、つまり過程を楽しむのが好きという傾向にあります。それに対して、理系嫌いは面倒くさがって気分や感情でやる、つまり途中はどうでもいいから答えだけ教えてという感じですか。

このように文系と理系とでは、根本的な考え方であるとか物の見方が違うので、お互いなかなか分かり合えないことが多いです。つまりこの世の中で圧倒的に多い文系の考え方を持った親が、子供を理系に進ませようと思う時、簡単に行かないことが多々あるのは仕方ないことなのです。

ではどういう風に育てて行くのがいいのでしょうか。

まず考えないといけないのは、理系の頭の特性ではないでしょうか。簡単に言うと、興味を持ったことに対して集中する所と、考える癖が付いている所です。つまり、これを伸ばしてやれば、理系に舵を切っていく割合が増えていくかも知れませんね。

逆に言えば、親がこれを意識していないか、行っていないので、子供は理系に興味を示さないことが、多いような気がします。

子供というのは本来好奇心の塊なので、何でも自分でやってみたがるものです。そして、好きなことに熱中すると、こちらが何を言ってもやり続けますよね。ということは、元々みんな理系の要素を持っているという事なのです。

それなのに、いつの間にか興味を持たなくなり、ろうそくの様にやがて理系の火が消えてしまいます。果たしてそれは子供だけのせいなのでしょうか?いいえ、そこには親の考え方や行動が多大な影響を及ぼしていると考えられます。

例えば、「あそこにあるの何?」 「○○ってどういう意味?」 「どうして○○は××できるの?」 と、子供が聞いてきた時、これにどう返事するかによってその先の未来が変わっていくといっても過言ではないと思います。

自分ではよく分からないことや、上手く説明できないことだと、面倒くさく感じて 「ママも知らんわ」 「自分で調べなさい」 「ふーん、後でな」 と、その場を濁しているのではないでしょうか?子供は、疑問を生み出すモンスターです。まだまだ調べる方法も分かりません。こういう風に返事されると、 「聞いても教えてくれないんだ」 「一緒に考えてくれないんだ」 「聞いても無駄かな」 となり、だんだん ”?” の数も減っていくと思いませんか?

それでは逆の場合を考えてみましょう。 「ママも分からないから、一緒に調べてみようか!」 「ほんとだね。よく気が付いたね。何でかママも考えてみるね」 「どうしてああゆう風になるんだろうね。〇〇ちゃんはどうしてだと思う?」 「そんじゃあ、あれはどうなってるんだろうね?」

特に一緒に考えるのが、子供にとって大事なことで、 「ママはいつも僕の言う事をちゃんと聞いてくれてるんだ」 「私も何かあったら聞いてみよう」 「ママやパパはなんて言うんだろうなぁ」 となっていきます。 この繰り返しが、子供の理系脳を育てていくのです。

何も最初から、いつも全部じゃなくてもいいじゃないですか。常にスマホは手元にあるんだから、調べるのなんて一瞬ですよね。面倒くさいのを少し置いといて、たまに少しづつでもやるのとやらないのでは、結果は全然変わってくると思いますよ。子供の疑問を受け止めて、しかもそこから更にステップアップさせていくのは、ママの手助けが欠かせません。

ここで一つ気を付けて頂きたいことがあります。子供の興味というのは、それこそあちこち関係なく飛んで行くという事です。さっきまで恐竜の話だったのに、今度は電車の話だったり、お花を見つめてたかと思えば、ワンちゃんに興味を抱いたり、そんなことはしょっちゅうあると思います。

とりあえず、最初はスルーしておきましょう。そのうち興味を示す物の傾向が見えてくるはずです。そうなれば、まずは画像や動画を見せてあげましょう。食いついてこなければ、そこまでにしておいて、もし食いついてこれば、実体験に進めていけばいいでしょう。

そう!この ”リアル” がめちゃめちゃ大事なんです。これで興味が一気に爆増します。虫やお花なら図鑑、絵なら美術館、恐竜や電車なら博物館、動物なら動物園、ロボットなら科学館、結構身近にいろんな施設ってあるんですよ。後はもう子供次第ではありますが、親はできるだけフォローしてあげるといいですね。

近きを釈てて遠きを謀る者は労して功無し、という言葉があります。 身近なところや今をおろそかにして、遠くの未来の事を考えてもよくない。また、身近なところや今をよく考えるべき、という意味です。

将来こうなればいいなぁ、だけではなかなか実現するのは難しいと思いませんか?何をすればいいか、どうすればいいか、というヒントは実はあちこちに散らばっていますし、絶対無理ってものでもありません。後は親と子供が決断してやるだけなんですけどね。

よく理系の人間は頭が固いとか、融通が利かないと言われますが、実は理系の方が柔軟な物の考え方をする人が多いと思います。答えを導き出す時柔軟な発想がないと答えにたどり着けないからです。文系の方がむしろ硬いですし、答えが元々決まっていることが多く、自由な発想を許さない方が大半ですよね。

考える親を見て、考える子は育つと思います。そして子供と一緒に考える時間を増やしましょう。理系の人は、 考えることは楽しいゲームと思っている人が多いです。

理系好きの子供はいつまでも夢を失わないことが多いです。そもそも夢を見るだけではなく、どうやったら叶うだろう、っていつも考えていますから。仕事も元々が興味があるから、好きだから、で選んでいるので、仕事自体を嫌になる事も少ないです。

実は、理系から文系に変わることはそんなに難しくはありません。ただ、文系から理系に変わるのはほとんど無理です。将来を見据えて、まずは理系脳を鍛えることは子供の選択肢を増やすことにもなります。さぁまずはあなたが子供の前で、いろんなことに興味を持ち、いろんなことを考える親になっていきませんか?

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ぷろふぃーる 
 個人塾をやり始めてもう十数年。自らの子育ての経験と、毎日の塾での子供たちや親御さんとのやり取りの中で、考えていることや感じていることを綴っています。あくまで個人の意見ではあります。しかし、頑張っておられるお父さんやお母さんに少しでもお役に立てればと思っております。

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