マニュアル人間
マニュアルって、辞書によると、ある目的を達成するために必要な手順や方法を記した文書、と記されています。
世間で問題になっているのは、マニュアル人間ってやつですね。マニュアルがあると完璧にこなせるけどそれがないと何もできない。指示待ち人間とも言われています。自分から積極的に何かをやることはないという意味でしょう。会社でも、お店でも、役所とかでも、そんな人が大量発生中らしいです。
何でこんなことになってしまったのでしょうか。主に3つの原因が考えられると思います。
- 詰め込み教育
- ことなかれ主義
- 今で言うKY
- 詰め込み教育のせいで、点を取るためにはどうしても暗記中心の教育になりました。それゆえ思考力、判断力の教育が、おろそかになり、自分で考えて行動するということが、後回しになったためです。誰かの指示があれば行動が起こせるのですが、指示がないと行動をしなくていいという解釈をするのです。
- 子供の頃 「あれやれ、これやれ」 「あれやったらあかん、これやったらあかん」 と散々言われてきたので、何か余計なことをすると怒られるという感覚があります。だから、余分なことはしないというのが、身に染み付いているのではないでしょうか。それ故、見て見ぬふりではないですが、プラスもう一つのことを自ら進んでするということはないのです。
- 空気が読めないというか、空気を読もうとすることすらしない子が多いのでしょう。空気が読めないということは、気遣いができないということです。学校も、仕事も、家庭も、ある意味運命共同体ではありませんか。周りの人間が困っていたり手助けが欲しいことを感じる、または感じようとすることって、結構大切だと思うんですけど。
目の前のことを、言われたことだけでも、しっかりこなすだけでもすごいこととは思います。しかし人間、要求というのはどんどん上がっていくようになるので、それができるならこれもとか、もっとできるんじゃないとか、周りにも目を配れとか、なっていくのでしょう。
進を知りて退くを知らず
進を知りて退くを知らず、という言葉があります。進むことだけしか頭になく、退くことが出来ない、つまり、臨機応変に対処できない、という意味です。
その場その場の状況に応じて、自分で判断して行動を決め、それを周りの人達と連携を取りながら行っていく。失礼な言い方かもしれませんが、今の若者にとって一番苦手というか、やりたくないことなんでしょうね。
解決策としては、やはり一つずつ丁寧に教えていくしかないでしょう。もともと能力はある人たちなのです。言ったことはしっかりできるはずです。習った事はできるようになります。能力はみんな持ち合わせているのです。
核家族
ただ、その背景は少し疑ってみる必要はあるのかもしれませんね。なぜ時代がマニュアル人間を生み出したのか。もちろんそんな人は昔からいたようにも思います。ただここまでひどくはなかったかな。
1つ考えられるとすれば、核家族でしょうか。大家族であれば1つ屋根の下で大人数が暮らしているわけですから自分勝手に何かをするわけにも、いきません。テレビだって、お風呂だって、食事だって、周りを見ながら空気を読んでやっていかないと、あちこちで衝突してしまいます。それを日常生活でやっていれば、嫌でも気がつく人になっていくでしょうね。
それが今は、家の中で気を使うことが少なくなました。また親もそのことの大切さを教えられていないとすれば、当然この結果になるのも納得かもしれません。
周りに気ばかり使って、顔色を伺って、そればかりをしていろ、ということが言いたいのではありません。せめて自分の大事にしたい人に対してぐらい、気を使えるような人間になって欲しいということです。そして伝えてあげたいです。困った時に助けてもらえないよと。
想像することが、苦手というかしないので、自分がもし逆の立場になったどうなるんだろう、という考えがない人が多いです。「そんなんどうでもええねん」 「別に助けて欲しくなんてない」 「ほっといて」 そんな心が冷たい人間に育って欲しいですか。
親が子供に教えてあげられるとすれば、3のKYにならない様にしてあげることでしょうか。つまり、空気を読む人間に育てるという事です。周りの人達に対して、感謝の念を持ちつつ気を配れる。それが理想ではないでしょうか。
最後に
近頃、何かと個人を大事にしろ、みたいな声を耳にしますが、そのこととは全く別の問題であることは忘れてはいけません。個人の力をつけろって言ってるのであって、周りのことはどうでもいいと言ってる訳ではありません。そこは、勘違いしてはだめです。
マニュアル人間を作らないためにも、マニュアル人間にならないためにも、我が子には、自分で考えることができ、周りに対しても気配りができる人間に育って欲しくは無いですか?
そして最後になりますが、生活って、生きていくって、人生って、マニュアルどおりにいかないことだけはお忘れなく。
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ぷろふぃーる 個人塾をやり始めてもう十数年。自らの子育ての経験と、毎日の塾での子供たちや親御さんとのやり取りの中で、考えていることや感じていることを綴っています。あくまで個人の意見ではあります。しかし、頑張っておられるお父さんやお母さんに少しでもお役に立てればと思っております。
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