蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)
価値観って人それぞれだし、強制的にこうなれ、あーしろ、というものでもなく徐々に出来上がっていくもの、作っていくものという感じでしょうか。
蓼食う虫も好き好き、という言葉があります。人の好みはさまざまであり、自分の価値観だけでは判断できない、という意味です。
どこに重きを置くのか、お金、仕事、家族、趣味、食べ物、旅行、家、車、洋服、もちろん100ー0ということはなく割合であったり、優先度が人によって微妙に違うということでしょう。
これがあまりにも違いすぎる人とは、なかなか馬が合わないっていうか話も合いにくいです。夫婦はもともと価値観が似通ってないと、やっていけないところがありますよね。まあ全てがぴったりなんてなかなかないとは思いますが。
多様な価値観
それでは子供の場合はどうなのでしょうか。これは間違いなく、親の価値観と同じようなものを引き継いでいくと思います。特に小学生頃までは、親の考えや行動が大きく影響します。
親自身が大事にしていることや好きなものに、当然子供も触れる機会が多いでしょうし、逆に、親が興味のないものは、子供の目の前にやってくることは少ないわけですから。
昔の親は、自分の価値観というものを、無理やりというか当然の如く子供に押し付けてきた人が多かったでしょう。まあ今でもそんな人はいるでしょうが、あまり聞かなくなりました。
時代も変わり、画一的な価値観というものは影を潜め、昔では考えられないような多様な価値観も生まれてきています。その中で我々大人が、子供たちに伝えられることをいつも考えてなければいけません。
特に今気をつけるのは、押し付けるのではなく、こんな考え方もあるんだとか、こんな世界もあるんだとか、こんなものがあるんだとか、色々な可能性であり生き方を示してあげられることなのではないかと思っています。
当然子供たちは、これから色々な人と出会い、学習し、世の中へ出て行き、仕事をし、宗教や思想とも出会い、世界へ飛び立つ人も大勢いるでしょう。そこには国民性の違い、民族性、歴史など、様々な価値観の違いを体験するでしょう。
そこで自らの価値観が、大変重要な役割を持ってきます。もちろん他の価値観に影響を受けたらダメ、ということではないのですが、自分の軸というか、コアな部分に、しっかりとした価値観が作られてないと、それこそ刺激が強すぎて、フラフラしてしまうのは間違いないでしょう。
だからそのベースになる価値観を作り上げる親が、責任重大になります。何も立派なことを教えるとか、大層なことをやれとかではありません。子供に色々な価値観を見せてあげることです。
その中で 「パパは〇〇な理由でこの人たちには賛成している」 「ママは何々だから反対」 とか自分たちが思ういい方も悪い方も、まずは存在を否定するのではなく認めてから、それに理由をつけて意見を話し合う、という姿勢を見せていれば、子供もそういう考え方が身についていくと思います。子供の頃から、偏った考え方を身につけさせてしまうと、実は反動が大きかったりするでしょう。
柔らか頭
お題目のように唱えられている、多様化の時代とか、グローバルな考え方を身につけろとか、そこかしこで毎日耳にしますが、果たしてそのために、親は子供に何をしてやれるのでしょうか。
「自分たちにはそんなの関係ないや」 でもいいですけど、子供はどうなるか分かりませんよね。 「いやうちはちゃんと考えて子供を英語教室に会話してる」 素晴らしいです。役に立つか立たないかの話はおいといて先を見据えてのその行動に頭が下がります。
ただ私が思うのは、言語よりも何よりも、多様性が認められる人間に育つかどうかの方が、もっと大きな問題のような気がします。こんな島国の日本でも、関東と関西や、都会と田舎とか、結構こだわったり、受け入れられない人も多く、考え方も偏ってたりします。
ましてや世界に出れば、それこそ全く逆であったり、今まで考えたことがなかったような価値観に出会うことも珍しくないです。自分が今まで信じていたことが通用しない時の、驚きであり、喪失感はなかなかキツイものがあります。
はたしてその時、柔軟に対応できるかどうかは、いかにそこまでに、色々な可能性を考えることができる頭を、作ってきたかどうかなのではないですか。自分の価値観が全て正しい、としか考えられない人にとっては、厳しい現実が待ち受けています。
最後に
何もあなたの価値観が間違ってるとか、価値観を変えろ、という話ではありません。人それぞれ培ってきた、また作り上げてきた価値観は、それだけで素晴らしいものがあるので、決して否定されるものではありません。
しかし、自分の価値観と異なる人であったり、ものであったり、考えを全て拒絶する姿勢を取り続けていたら、それを見て子供はどういう風に感じ、思い、考えるか、を想像してみてください。
子供の時はそれが当たり前の世界でも、一歩外出ると色々な価値観があることを、嫌でも知ることになるわけです。「あれパパが言ってたことと違うなぁ」 「ママがこれはダメって言ってたのに」 それを知るのも勉強のうちなので、全て悪いわけではないのですが、免疫が全くないのも子供がかわいそうだと思います。
そういう人もいる。そういう考え方もある。そういう会社もある。そういう国もある。〇か✕の判断をするのではなく、いい、悪い、でもない世の中いろんなものがあるんだ、という割り切るというか受け入れる気持ちが大切です。そしてもっと大事なのが、それを考えられる心を持った子供に育ててあげられるかどうかなのです。
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ぷろふぃーる 個人塾をやり始めてもう十数年。自らの子育ての経験と、毎日の塾での子供たちや親御さんとのやり取りの中で、考えていることや感じていることを綴っています。あくまで個人の意見ではあります。しかし、頑張っておられるお父さんやお母さんに少しでもお役に立てればと思っております。
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