不登校の現状
不登校っていう言葉は、昔はあまり耳にしたことはなかった様に思います。それが、今では世の中の大きな問題の一つとして、取り上げられるようになってきています。
現状はどうなっているかというと、令和4年度の文科省の発表によると、小・中学校の不登校児童数は299,048人でした。1クラス30人程度で計算すると、小学校では4クラスに1人、中学校では1クラスに1人の割合になっています。
この数字が示す通り、決して遠い世界の話などではなく、身近に起こり得ることであり、他人事ではないと認識するべきではないでしょうか?
子供のせいでも親のせいでもない
まず結論から言うと、不登校は子供本人の甘えによるものではないということです。 学校や取り巻く環境へのストレスや人間関係など、子供自身に原因が無いことの方がほとんどです。 自分たちのことを責める親も多いですが、親のせいでもありません。
いちばん最初に、ここのところをちゃんと理解しないと話が進みません。甘えだと決めつけて一方的に叱っても何の解決にもならないケースがほとんどで、更に事態が悪化していく事の方が多いです。
まず、原因は一つではなく、人それぞれであるという事です。学校のクラスの空気が合わなかったり、勉強につまずいてしまったり、友達関係がうまくいかなかったりといった、子供を取り巻く環境が原因で、ストレスを多く感じてしまい、無気力や不安に押しつぶされそうになって、徐々に学校に行くことができなくなってしまった子が多数を占めるのではないでしょうか?
しかも、ここがややこしいのですが、原因を解決したからといって、不登校が治る訳ではないことも、分かっていただきたいのです。普段色々起こる問題は、まず原因を探りそれを解決すればいい方に向かう事も多いですが、この件に関しては絶対ではないことを、知っておいた方がいいと思います。
それでは、まず始めにどうしていけばいいのかという話なのですが、とにかく基本的に考えておいて頂きたいのが、子供が今どうしたいか、何をしたいか、これからどうしたいかです。
子供が不登校になれば、親がまず考えるのが、 「何か学校であったんかな」 「いじめられてるんとちゃうか」 「私が気づいてあげられへんかったからかなぁ」 「そんな甘いこと言ってたら、社会に出られへんぞ」 だと思いますが、それに対する答えは 「早く問題を解決して学校に行きなさい」 ではないでしょうか?これで解決するレベルの不登校なら問題は無いのですが、事態はそんなに甘くはないことが大半を占めます。
今、どうするか
ですから、まずやらないといけないのは、子供と向き合う事なのです。今の子供の気持ちを冷静に聞くことなのです。それでも心を開いてくれないのなら、根気よく待つしかありません。頭ごなしに親の意見を押し付けても話がこじれるばかりです。
お互いがまずは冷静になって今の状況であったり、これからどうしていくのかを考えて、落ち着いて話し合う事が大事です。
「うちの子は何も話をしてくれなくて、、、」 という話をされます。そういう時聞き返します。 「小さい時から、何も話さない子でしたか?」 そういうケースはほとんどありませんよね。つまりどこかのタイミングで子供が諦めたんですよ。 「ママに話しても、どうせちゃんと聞いてくれないもんな」 「パパに言ってもどうせ怒られるだけやし」
子供が話をしないのは、親が聞いてないからなのです。忙しいから、話が長いから、何を言いたいかよく分からないから、面倒くさいから、言い訳するのは構いませんが、子供はママに聞いて欲しかったのは、紛れもない事実なんですよ。そこら辺の風通しが良かったなら、もっと早く気づいて上げれたかも知れませんね。
子供に変わって欲しいと思うのなら、親も変わらないといけません。子供が話しやすい、相談しやすいような空気を作ってあげるのは親の役目ではないですか?そして、自分たちの反省すべき点は素直に認めましょう。
朝の来ない夜はない
朝の来ない夜はない、という言葉があります。今は苦しくても、いずれ好転する日が来る、という意味です。
こういう事態におちいれば親としては当然慌てるでしょう。それは、どうしたらいいか分からないからではないでしょうか?もしもここで、 ”一時的なこと” と考えることができれば、さほど難しい問題でもなくなるかも知れませんね。
ここは、視点を過去、遠い未来から ”今” に定めることを念頭に置いて下さい。 「前はこんな子じゃなかったのに、なんで?」 「今こんな風にしてたら、将来どうなってしまうんだろう」 という考えは捨てないといけません。
そんなことを思っていても、何も前には進みませんよ。それよりも、今のお子さんに真正面から向かい合っていきましょう。目の前の我が子の ”今” に集中してください。それは何も過干渉になれという事ではありません。 「こうしなさい」 「ああしなさい」 という命令ではないのです。 「あなたと一緒に私たちも考えていくから、決して一人で抱え込むことではないんだよ」 という意思表示をしてあげて欲しいという事なのです。これが子供に伝われば、手強いハードルを一つ越えたといえるでしょう。
周りの人に何を言われようと、自分の子にとってどうするのが一番いい選択なのかを、しっかり見極めていきましょう。
忘れないでください!一番悩んでいるのも、一番苦しんでいるのも、一番不安でいるのも、子供本人なのだということを。
これからの進路や方向性に付いては 不登校って ② の方に書いていきます。
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ぷろふぃーる 個人塾をやり始めてもう十数年。自らの子育ての経験と、毎日の塾での子供たちや親御さんとのやり取りの中で、考えていることや感じていることを綴っています。あくまで個人の意見ではあります。しかし、頑張っておられるお父さんやお母さんに少しでもお役に立てればと思っております。
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